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2009年4月 9日 (木)

豪銀の悩み:津田

今週RBA(豪州準備銀行)は予想に反して政策金利(オフィシャル・キャッシュレート)を25bp下げて3.00%という1960年以来の(一般的に史上最低と言われる)レベルにした。

発表後の声明主旨は:
・金融政策と財政政策は国内需要の大きな支援材料となる。
・世界経済の縮小は続いている。
・中期的にインフレは低下する見込み。
・中国を含む一部の国で景気安定化の兆し。

またグレン・スティーブンスRBA総裁は「ここまでの大幅金融緩和と財政出動(ラッド政権の総額A$52bioの景気刺激策)にもかかわらず25bpの引き下げが必要であった。RBA理事会は更に小幅の金融緩和余地を認める」と述べている。

いわゆる地場ビッグ・フォー(NAB,CBA,ANZ,WESTPAC)は度重なる政府の要請にもかかわらず、利下げ幅(25bp)すべてを実勢金利の下げに反映させることを拒否した。
NAB(ナショナルバンク)は変動住宅ローン金利(variable home loan rates)を全く変更せず。CBA(コモンウエルス銀行)は10bpのみの利下げを表明。
当初考慮中としていたANZとWESTPACも結局10bpのみの利下げを表明した。
10bp下げた3行にしても”これが精一杯”と苦渋の選択をした形。
CBAは4月17日から変動モーゲージ金利を10bp下げて5.64%とすると発表した。

この豪銀の”下げ渋り”に対してスワン財務相は「世界的な景気後退の中で一生懸命住宅ローン返済のために働いている人々のほっぺたを平手打ちするような仕打ち」と怒りをあらわにした。

彼らの言い分は”銀行のファンディングコスト(調達金利)が上昇している中で、融資金利をこれ以上引き下げできない”というもの。昨年後半から金融緩和がドラスティックに行われ、約半年にわたり住宅貸出金利に反映してきたが、一方2007年半ばからの信用危機のあおりを受けて、インターバンク市場(銀行間の貸し出し市場)での調達難に加えて、他行競争上、預金金利をなかなか下げることが出来ず、顧客モーゲージのための実質調達コストが上昇し、銀行利ざやが著しく毀損されているとしている。金融緩和と調達コストの高止まりの狭間で銀行の住宅融資部門のマージン減少傾向が続く。

一方住宅市場に目を向けると昨日豪州統計局(ABS)が発表した2月の新築住宅融資は+4.2%となり一方新築住宅成約率も+2.6%と強い数字となった。これは中古住宅融資の伸びがゼロであったのと対照的な結果であった。この原因は史上最低レベルの住宅ローン金利水準に加えて”First home buyer grant”と呼ばれる住宅購入者支援制度の影響が大きい。これは2000年に導入された制度で最初の持ち家(居住目的)を買う人に政府が7,000ドルの支援金を支給するというものであるが、昨年10月の経済危機にあって政府は中古住宅のfirst buyerに対して支援金の額を2倍の14,000ドルに、また新築住宅のfirst buyerに対して3倍の21,000ドルとした。(期限今年の6月まで)2月にfirst home buyerのモーゲージ申請割合は26.9%となったが、これは1991年に豪州統計局が統計を取り始めて以来の最高値であった。

ただ、住宅産業協会(HIA)は「融資金利低下の影で高金利の固定金利住宅ローンに苦しむ層が多く、景気後退が厳しい現状、金融機関はペナルティーなしで借り入れ条件の変更を承認すべきである」と指摘する。
反面、現在の低金利を享受している新規住宅購入者においても、金融緩和が最終段階(fine tuning stage)に入った状況で、これ以上の金利の大幅な低下は期待できず、今後金利が上昇局面になった時に、現在の変動型低金利融資を受けた住宅ローン債務者の支払いコスト増が問題化する可能性があろう。

いずれにしても、豪州金利は最終的に2%程度まで下がるという観測が多いが、銀行筋からは「商業銀行の立場からは政策金利が2%を下回る場合には、一切の顧客融資金利の引き下げには応じられないと断言できる」(ANZチーフエコノミストBill Evans)との悲鳴が聞かれる。


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