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2009年4月16日 (木)

豪州資源会社への中国の買収攻勢:津田

豪州資源各社は新興国の旺盛な需要を背景に飛ぶ鳥を落とす勢いであった2008年半ばまでの勢いは影を潜め、世界的な需要低下から資源価格が大幅下落し、資金繰りの悪化で資産売却やリストラに追われている。
米国や豪州の主要銀行かのら追加融資が困難になる中、中国の国営企業が出資や買収に動き出しており、当地でも話題になっている。

2月12日には中国国営の非鉄最大手中国アルミ(チャイナルコ)が英豪系大手リオ・ティントに総額195億米ドルを出資する契約に調印したと発表した。(中国企業の海外投資では過去最大)

また国営の資源開発大手、五鉱集団も2月16日に豪州資源大手のOZミネラルズを26億豪ドルで買収することを発表した。この中国の動きは豪州に対してにとどまらず中東、アフリカ、南米、ロシアなど主要資源国に向かっており、景気回復後の資源の安定供給先の確保に乗り出したという感が強い。

スワン財務相はリオ・ティントの件については「外国投資審査委員会(FIRB)の審査(当初の3月から6月まで延長された)の審査結果を見て総合的に判断する」と述べた。またOZミネラルズ買収案件も、一部鉱区が豪州軍事施設に隣接しており、五鉱集団側は修正案を提出したがまだ認可が下りない状況である。

一方複数の野党議員からは不快感を示す声が相次いだ:

自由党ターンブル党首-国益の観点から見過ごせない問題。
緑の党ブラウン党首-一党独裁国家には経営権の一部でも渡すべきではない。
クセノフォン上院議員-中国には雌牛ではなくミルクを売るべき。等々。

ただリオ出資案にしても中国との取引が成立しない場合は、リオの経営難から3000人が職を失うとの見方もあり、雇用確保を掲げてきたラッド政権も最終的には飲まざるを得ないとの意見が多い。

リオに昨年まで敵対的買収を仕掛けてきたBHPも多額の負債を抱えて買収を断念したが、そのBHPに対しても、中国が株式取得を目指して投資ファンドと話し合いを持っているとの話である。

リオ・ティントは1905年にNSW州ブロークン・ヒルの亜鉛採掘場の地場会社「CZC」に始まる資源会社であり、またBHPビリトンも1885年文字通りの同じブロークン・ヒルの銀や亜鉛採掘会社「BHP」が前身で、両社共に豪州連邦の発足(1901年)に匹敵する歴史を持った会社である。
「わが世の春」を謳歌していた豪州資源会社も昨年から今年にかけての世界恐慌の犠牲者と言えばそれまでであるが、今後の世界景気回復以降の企業経営を考えると、この最悪の状況における豪州企業の身売り・安売りは今後に禍根を残すような気がしてならないのは私の愛豪心であろうか?


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