グローバル株価は大底を付けたのか:竜河
3月上旬以降、米株価が大きく反発し、グローバル的な株価上昇をリードしてきました。米主要株価指数の1つであるS&P500種で言うと、3月9日に676.53を付けてから4月6日現在の835.48まで、23.49%の反発を演じました。
今回の株価反発に2つの理由が考えられます。1つはテクニカル的に見て売られすぎたことで、もう1つはファンダメンタルズ的にもサポート材料が出たことです。
売られすぎとのことは、3月上旬に株価と200日移動平均との乖離率が36%にもなったことから分かります。同じような売られすぎは、昨年11月中旬にも起りました。当時、株価と200日移動平均との乖離率が一時的に36%を超え、その後、今回と同様に株価が急速に反発しました(チャート参照)。
ファンダメンタルズ要因についていうと、以下のような経済指標の改善が挙げられる。
それを時間順にリストアップすると、
2月の小売売上高は前月比0.1%減と、市場予想の平均である0.5%減より下落幅が小さかった(3月12日発表)。
2月の住宅着工件数は年率換算で58万3000戸と、前月に比べ22.2%増えました(17日発表)。
2月の一戸建て新築住宅販売件数は年率換算で33万7000戸と、前月に比べ4.7%増えた(25日発表)。
2月の耐久財新規受注は、前月比3.4%増と7カ月ぶりに増加に転じました(25日発表)。
このように、テクニカル要因とファンダメンタルズのサポートで株価が反発してきました。
では、今後、米株価が順調に上昇トレンドに復帰するのかというと、答えは恐らくノーです。
下記のチャートは2002年初頭から2003年半ばまでのS&P500種の値動きおよび200日移動平均です。チャートから分かるように、2002年7月下旬と10月上旬において、2回ほど株価が200日移動平均から大きく乖離しましたが、その後ともに急反発しました。ただ、いずれの場合も株価が上昇トレンドに復帰できず、再び反落してしまいました。そこで、株価が最終的にテークオフしたのは、翌年3月になってからでした。
今回の場合でいうと、株価がさらに反発し、200日移動平均との乖離が縮小するにつれ、割安感がなくなり、買い戻しの動きも止まると思われます。
また、経済指標の改善について言うと、耐久財新規受注増および住宅販売件数の反発は、迅速な在庫削減への反動およびキャッシュを保有していて住宅価格の下落を待っていた一部の人達が買い出動した結果と見ることができ、持続性が期待できないと思われます。
そもそも、米経済問題の根源は過剰負債・信用の無限膨張であるが、そこで、FEDとオバマ大統領が打ち出した対策はさらにおカネを刷りまくり、信用を膨張させることであり、それが本当に有効なのか、或いはさらに大きい問題を引き起こすのか、まだ、答えは見えていないと思われます。
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