中国の不動産事情と経済成長:竜河
中国政府は、今年8%の成長を達成できるように色んな手を打ってきていますが、今のところ、最も大事な内需が減速する様相を見せ、目標達成が簡単ではないと思われます。
中国の国家統計局は27日、1-3月の都市部1人当たり消費支出が3130元で、実質ベースで前年同期に比べて9.6%増と、これまでの伸びに比べ減速したと発表しました。
消費支出の拡大が期待しにくい中、住宅市場も活況にほど遠い。報道によると、先週、北京市の住宅販売は平均1日当たり772戸と、前年同期比4.8%下落し、下落は連続4週間になりました。また、販売に比べ開発の急減速ぶりはもっと凄まじい。第1四半期の不動産開発投資額が220.1億元と、前年同期比30.2%低下し、開発のために購入した土地面積は前年同期比85.5%減りました。
北京はこのような状況であるが、華中のハブ都市である武漢も楽観できない。先日、武漢市で春の住宅展覧販売会が開かれ、2万8千戸の新築住宅が展示され、5万7千人が訪れたが、仮契約したのはわずか907戸で、ここ数年最低の記録です。
そして、北京市の住宅市場において、最近、1つ異常な現象が起きています。というのは、購入契約の大量キャンセルが発生しています。今年になってから、キャンセル戸数が1,759戸になり、幾つかの大型物件では、キャンセル戸数が新規契約を上回っています。
キャンセルが大量に発生した理由の1つは、景気が悪く、予定していたおカネが入らなくなったことです。もう1つは、値引き販売があちこちで行われているため、高い値段で契約をした人達が嫌気をさし、キャンセルに動いていることです。さらに、中国の特殊要因と言えるかどうかが分からないが、業績造り、或いは人気が高いというイメージを作るためのウソ買いも大量キャンセルの理由と言われています。
中国では、開発業者がマスコミおよび学識者を総動員して、不動産がこれからも上昇し続き、買うなら今しかないと見せかけの活況を作り出すのは上得意です。
このようなありさまでは、中国政府でさえ、経済の実態をきちんと把握するのは難しい。
昨日(27日)、上海市統計局が今年第1四半期の上海市のGDP成長率を発表したが、僅か3.1%で、昨年同期の11.53%の約1/4しかなく、全国平均の6.1%に比べても低い。上海市は中国経済の幾つかの主要なエンジンの1つで、その急減速は中国経済にとって重大な警戒信号と言えます。
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