「かかし」です。
先週の日経平均株価は2.24%の下落でした。全体が下落する中で、紙パルプなど円高メリット株が堅調でしたから、やはり対ドルと対ユーロでの円高の流れが株式市場に大きく影響したようです。一方、NYダウ平均株価も下落したのですが、下落幅はわずか0.7%弱の下げにとどまりました。
日本の株式市場では、紙パルプのような景気敏感循環株が物色されていることから、景気の底打ちに対する期待感が強く、市場のセンチメントは強いと見ることができます。
もし経済の状況に対する不安が原因となるような株価下落であるならば、景気敏感循環株ではなくディフェンシブな銘柄のパフォーマンスが改善するはずです。ところが、ディフェンシブな銘柄群は値を消しました。
ということで、日経平均株価は9000円の厚い壁を前にして「ちょっと一息」という段階にあると考えれば良いと思います。
それでは、私たちも「ちょっと一息」ついて、普段はあまり考えることにない長期的な視点から日本の株式市場を眺めてみたいと思います。
まずこの図をご覧ください。
これは1998年に公文俊平という社会システム論の先生が書いた「2005年日本浮上――長期波動で読む再生のダイナミズム」という本に記載されているものです。
この本によれば、幕末以降の日本社会の動きには60年程度の周期をもつ長期波動がみられるのだそうです。
さすがに60年というスパンは長く、株式投資にそのまま応用するわけにはいかないかもしれませんが、コンドラチエフの長期波動と重なるところがあり、興味がつきません。
簡単にこの波動の背景にある時代の動きを見ておきましょう。
1855-1885: 勤皇佐幕。鞍馬天狗の時代です。公文氏は土佐の出身のせいか、薩摩や長州の人たちが活躍する時代の話が好きなようです。幕末の混乱期で長期波動は下落しました。
1885-1915: 殖産興業、富国強兵の時代です。司馬遼太郎の「坂の上の雲」の時代です。大日本帝国憲法が制定され、日清、日露の戦争があり、第一次世界大戦の勃発のころまで上昇期が続きました。
1915-1945: 日本の金融恐慌、1929年の「暗黒の木曜日」から第二次世界大戦への突入。そして原爆の投下で終止符が打たれるまで長期波動の下落が続きました。
1945-1975: 戦後の復興、朝鮮動乱を経て、高度成長、三種の神器、東京タワー、東京オリンピックの時代です。「ALWAYS」(三丁目の夕日)の時代と言えそうです。長期波動は力強く上昇しました。
1975-2005: 2度にわたる石油危機、バブルの崩壊、金融システム不安にかき回された混乱期です。長期波動は大きく下落しました。
そして、公文氏は、日本経済が2005年以降30年にわたる長期的な上昇局面に入ると指摘しています。その入口で世界同時不況に見舞われたわけですが、勝負はこれからです。幕末から数えて1回目の上昇期は「坂の上の雲」の時代でした。2回目は「ALWAYS」(三丁目の夕日)の時代でした。はじまったばかりの、幕末以降3回目となるこの上昇期を、後世の人たちは何の時代と名付けるのでしょう。楽しみなことです。
ここに引用した公文氏のチャートに、自分で勝手に重要ポイントの書き込みをしたものを、「スケアクロウ投資経済研究所」 http://kakashi490123.cocolog-nifty.com/blog/ という私のブログに載せておきました。ブログのスペースの関係で小さくて見にくいチャートなのですが、ご興味があれば参照いただけると幸いです。
かかし
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