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2009年4月15日 (水)

中国-銀行貸出の急増を考える:竜河

411日の中国人民銀行発表によると、3月のM2が前年同期比25.51%増と、97年以来の高い伸びになり、金融機関の新規貸出も歴史的な記録となる18900億人民元(昨年同期は2.8千億元)に達しました。その結果、今年第1四半期の新規貸出残高は45800億人民元にのぼり、昨年の年間総額に接近しています。

 

貸出金額がこれほど急増できたのは、各銀行、特に4大銀行がスピード審査を実施しているためであり、申請から実際に貸し出すまでの時間は今までの1/3ほどになったと言われています。

 

では、このようなおカネの洪水がどこに流れていたのか、各種報道を総合すると、銀行のリスク回避指向もあり、こういった資金は主に地方政府、国営企業、株式市場、そして不動産市場に流入したと見られます。大量な新規資金が流入したことで、年初から414日今日まで上海総合株価指数は34.37%も上昇し、全国主要70都市の住宅価格も、前年同期比では、今年3月に6カ月ぶりのプラス転換(+0.2%)となりました。

 

ただ、おカネが主に公的部門と株・不動産市場に流されたことで、民間企業の資金繰りは緊迫したままであり、不満の声が高まっています。

 

また、普通の国民からみれば、懸命に働き、倹約な生活をして、やっと貯めたわずかなお金を銀行に預けたのに、マネーサプライが急騰してしまい、それでは、いずれ物価が高騰し、自分の貯めたおカネがおカネではなくなるのではと非常に危惧しています。無論、投資好きな人達からみると、マネーサプライン急増は株式投資の好機であり、そのスピードが落ちてくるまでは株式投資を増やすべきです。

 

マネーサプライの急増ぶりは政府の関心も引きました。今のところ、政府は国民にむけて、おカネが実体経済に入ったとアピールする一方、実際にどこに入ったのかと厳しくチェックしています。報道によると、この間、上海証券取引所と深圳証券取引所が共同で通達を出し、上場会社に銀行への預金と銀行からの借り入れ状況を報告するように求めています。

 

このように、中国では銀行貸出の急増が大きな話題になっているが、一方、銀行預金もかつてないスピードで増えています。事実、3月の新規貸出が18900億人民元となったが、預金も2兆4500億人民元増えました。言い換えれば、今までの景気回復が政府の支出増に誘導されたもので、民間主導の消費増加とはまだほど遠い。

 

今後、中国にとって、1つの危惧は、政府が主導し、スピード審査による記録的な銀行貸し出し増の結果、数年後、中国版サブプライム問題が起こり、金融システムがメルトダウンすることです。

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