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2009年3月12日 (木)

エコノミストの悲観論は続く。これでいいのか??:津田

かつて(リスク回避/リスク選好のall or nothing 相場以前という意味)豪ドルは日々発表される経済指標の良し悪しに従い、つまりファンダメンタルズ通りに動く可愛い通貨であった。
予想以上に指標が良ければその日一日豪ドル堅調、予想以上に指標が悪ければ豪ドル軟調。それがサブプライム以降は個々の事象にとらわれないリスク回避の高まり、後退のどちらかで、豪ドルもその他通貨と全く同じ動きに支配されているのは残念至極であるが。

本日は2月の雇用統計が発表された。内容は速報でお知らせしたが、就業者数は full time jobの5万人減をpart time jobの5万人増で補ったために尻は+1.8千人と予想外のプラスになったが、失業率は5.2%に上昇し、決して楽観視できる内容ではなかった。

昨年7月以来の就業者数、失業率推移:

                    2008Jul    Aug    Sep    Oct    Nov    Dec  2009Jan    Feb
就業者数(%)        4.3    4.1     4.3     4.3     4.4      4.5       4.8         5.2               
失業率(千人)   10.9   14.6  2.2     34.3     -15.6   0.0      1.2         1.8

失業率は来年には7.5%まで上昇するとのエコノミストの見方が一般的。

先週の第4四半期GDPマイナス0.5%に続いて、今週火曜日に発表された2月ANZ求人広告数とナショナル・オーストラリア銀行(NAB)企業信頼感において労働需要の減退と信頼感・センチメントの悪化が確認された。

2月のANZ求人広告数(新聞及びインターネット分)は史上最悪の前月比-10.4%となり、過去1年間で40%減少しており労働需要は1991年のリセッション以来のペースで減退している。

またNAB企業調査では企業の販売数、オーダー数、収益実績が1990年代初頭以来の低水準となり、労働需要の悪化を示す結果となった。同サーベイでは2月の企業信頼感が-32から-22に改善してるがこれは政府による2月の追加景気対策発表でセンチメントが一時的に好転したとの見方が一般的。その他のコア指数は軒並み大幅下落。雇用インデックスは10ポイント低下して1991年12月以来の低水準である-27に低下。ジネスコンディションが-11から-20に(1992年以来最低)、トレーディング信頼感が-4から-15に低下、企業収益が-12から-17に低下、先行きオーダーインデックスが-20から-27に低下といずれも18年ぶりの悪化を示す。また設備稼働率は2001年の景気後退以来初めて75%を割った。

一方昨日発表された3月WESTPAC消費者信頼感指数は2月の-4.6%に対して-0.2%(85.6)と最近の悪い指標の後にしては予想外に下落幅が小さくなった。一つの要因は政府の420億豪ドルの景気刺激策の第1回の支払いが今月後半から来月にかけて到来することへの期待があるのかもしれない。しかしサーベイの結果は人々は株価下落とともに雇用喪失を最も懸念しているということを示した。

ラッド首相は昨日議会において「数字は雇用と信頼感の悪化を示しており、これは世界的な経済の悪化が我々の足元にも押し寄せてきたことを示している」と述べている。

また月曜日には世銀も”今年世界経済は第二次世界大戦以来初めてマイナス成長になる見込み”との見通しを発表した。

NABのエコノミストAlan Osterの予想は「今年世界経済はマイナス1%、2010年にプラス2.25%と予想。豪州経済は今年マイナス1%、2010年はプラス0.9%。失業率は今年6.5%、2010年7.5%。」
ANZのエコノミストWareen Hoganは「求人広告の激減から推測すると雇用は今年年率で2%減少し2010年年央までに失業率7.5%を予想。また景気後退は今年いっぱい続き、2010年も著しい景気回復は期待できない」とする。
GoldmanSacksのエコノミストAndrew Boakは「求人広告の激減は過去2回のリセッション(1990年初頭と2001年)より今回の景気後退が深刻であることを意味する。」と述べている。

先週から今週にかけての国内指標の発表を受けて、市場では4月7日のRBA理事会においてオフィシャルキャシュレートを0.5%下げて2.75%し、年内最終的には2%まで低下するとの観測が強い。また4月は0.75%利下げ観測も全体の20%ある。

以上より本日のプラス就業者数も景気底打ちへの転機と読む向きはまずいないであろう。
悪い数字→エコノミストの弱気な見方→市場センチメントの悪化と悲観的な見方の蔓延→
経済活動縮小→さらに悪い数字      

まさにネガティブスパイラルである。

各国政府金融当局は金融・財政面での景気刺激を数多く実施している。最近は当局者による”2009年後半景気回復見通し”も出だしている。エコノミストもそろそろボトムアウトを視野に入れた発言で市場センチメントを好転させる役割を果たすべきではないか?信頼感を取り戻せずに景気の回復はありえないし、前向きの企業経営もできないであろう。”朝が来ない夜はない”訳であるから。


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