豪州もリセッション入りか?:津田
昨日発表された豪州の昨年第4四半期GDPは前期比-0.5%(前年比+0.3%)と事前予想の平均値+0.2%(前期比)、+1.2%(前年比)を大きく下回るものであった。この前期比マイナスは実に8年ぶりのものであった。
ただ、エコノミストの事前予想の中には最悪-0.2%程度のマイナス予想を挙げていたものもあったが、その根拠は既に発表されている同期企業収益の悪化と企業の在庫削減であった。データでは企業収益は5年ぶりの水準に悪化し、製造活動は1992年以来の水準に落ち込んでいた。具体的には製造及び建築部門の収益が20%落ち込んだことが原因となり、同四半期の企業収益が2003年以来最大の前期比6.5%落ち込みとなった。資源関連の収益は同期1.7%増加したが前期の+23.4%からは大きな後退であった。国内需要の低迷から企業在庫は同期2%減少した。
実際の原因分析では、政府による12月の景気刺激策を受けて12月の小売売上が大きく増加したにもかかわらず、通期での家計消費がほとんど伸びなかったこと、及び企業の大幅な在庫削減がGDPを1.7%押し下げた点であった。
GDPの結果に対してスワン財務省は「大変慎ましい数字であるが驚くには値しない。12月は記憶にある過去最大の世界的な景気後退を見たが、豪州も主要国の影響を受けないわけにはいかない。ただ-0.5%は峻烈な景気後退に見舞われた他のG7主要国に比べて健闘したといえる」と述べた。
Q4 GDP 比較(対前期比)
豪州 -0.5%
米国 -1.6%
日本 -3.3%
EU -1.5%
英国 -1.5%
カナダ -0.8%
台湾 -6.1%
世界の先進国のうち17カ国がリセッション(景気後退-二期連続のマイナスGDPと定義)に陥っており、これらの国を含めて27カ国が少なくとも1四半期のマイナス成長を記録している。
さて、今年第1四半期も豪州はマイナス成長となりリセッション入りを宣言するのであろうか?リセッション入り派の根拠は①世界経済が今現在も更に悪化しており、今後も豪州への影響が強まる。②昨年12月の政府の景気刺激策($10.8bio)の経済効果がが薄れており、2月の新景気刺激策($42bio)の効果が第1四半期はまだ現れない。とする意見。
逆に、”何とかリセッション入りを免れる”とする説の根拠は「昨年9月以来の金融緩和と上記の合計$52bioに上る景気刺激策の効果が第1四半期から出始める。住宅部門には既に回復の兆しが見える」とする意見である。
前回豪州がリセッションとなったのは売上税の導入で一時的に需要が落ち込んだ1991年である。いずれにしても、今後の世界経済動向と昨年来の金融・財政政策の効果が現れるかポイントであり、豪州はまさに”リセッションの瀬戸際”にあるということであろう。
リセッション入りとなる場合には、今月”小休止”したRBAも、もちろん、引き続き金融緩和を継続することになる。
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