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2009年3月19日 (木)

もうか?まだか?:津田

相場雑感を少々。

豪州に来て14年目になるがその間豪ドルも山あり谷ありであった。私が来た1995年12月は豪ドルは74セント程度。その後2001年4月に0.4775の史上安値を付け、2008年7月に0.9848の史上高値を付けまたまた60セントまで下落とよく動いた。ドル円ももう少し時代を遡って1985年プラザ合意まで戻れば240円から現在100円以下と米ドルが半分以下に減価している訳であるが、豪ドルはここ8年以内の動きであることを思えば、結構な変動率とボラティリティを兼ね備えた投機通貨であると言える。

振りかえれば47セント台に落ちたときには市場の大半は「やれ40セントだ、やれ30セントだ」と騒いでいた。また昨年豪ドルが95セントを超えて上昇したときはやはり「やれ1AUD=1USDでパーだ、やれ1.2まで行く」などと、過激な見通しで騒然としていたものだ。

別に自慢するわけでも、それによって自分自身が為替で大もうけしたわけでもないが、私は両方のケースにおいて50セント以下では買い場探し、90セント以上では売り場探しという立場を取って顧客にアドバイスした。もちろん両サイドで私の見通しからかなりオーバーランしたのは確かであるが。史上安値当時私はMIZUHO CORPORATE BANKシドニー支店のディーリングルームおり、昨年はすでにJUNAX CAPITALに移っていたが、特にMIZUHOにいた頃には鉱山関係や食肉輸出など大手商社や事業法人を顧客に抱えていた。彼等の為替玉は多いところで年間AUD 3bio程度であり、1回の取引でも1億豪ドルを超える取引も珍しくなかった。もちろん顧客が自分の言うことを100%信頼するとは思わないが、顧客にリスクヘッジ戦略をリコメンドする時には、自分でポジションを取るのとはまた違った意味でのリスクと緊張感を感じたものだ。

その中でやはり自分の相場観の核となる考え方は”高過ぎるものは下がる、安過ぎるものは上がる”という考え方。高過ぎるか、安過ぎるかの感じ方は、もちろん個々の人間の感性による部分であり、その感覚がすぐれた人間が良いトレーダーになるのであろう。むかし東京銀行時代に先輩から言われたのは、「経験の長いディーラーは変に値頃感で、売ったり買ったりする傾向にある。大きな上げ相場の途中で売ったり、下げ相場の途中で買ったり。これは大きなケガの元になる。上がったら買い、下がったら売りで突っ込む若いやつは大ケガをしない」という言葉。

確かにそれも言えるかもしれない。私も年とともに変な値頃感が身に付いてきた可能性がある。ただしかし「高過ぎるものは下がる」も真理。その判断基準になるのは、おそらく標準偏差や正規分布、正規確率などの確率論につながるものがあるような気がする。インフレ計測法の中に”刈り込み平均値”なるものがある。つまり両サイドの外れ値の影響を取り除きより安定的な値を得る手法、つまりフィギアスケートの審査で最高点、最低点を除いて審査するあれである。相場が伸びきった端の方は捨ててしまうという考えかもしれない。豪ドルの場合変動相場制移行(1983年)後の平均値が約70セントくらいであろう。従って50セント以下、90セント以上はやはり”やり過ぎ”と感じてしまう。ここまで来たら、自分の感覚を少しでも磨いて変な値頃感で大やけど(または即死)しないように気を付けてやっていくしかないと思っている。

エコノミストは気楽なもんだ。論理矛盾さえしていなければ、予想が外れればそのエコノミストの分析能力が劣っているとして暫く仕事が来なくなるかもしれないが、いつの間にか新たな論理を展開して、経済の動向に自分の論理を合わせてしまうであろう。しかし為替のポジションで収益を狙う市場参加の皆さんや我々、またはマーケットの皆さんにコメントなどをお伝えする我々は常に”当たり”、”はずれ”の結果が損益という形で伴うわけで、逃げ隠れできない土俵で日々奮闘している訳である。

その意味で世の中には”先月までドル円70円を声高に叫んでいた人間がいつの間にか最低102-103円は行くであろう”などと簡単に趣旨変えし、しかも論旨転換の理由も述べない人間もいるようであるがいかがなものか?相場予想など神でない限り外れることはままあろう。ただ外れた理由と修正ポイントだけは皆さんにお伝えするのが礼儀であると思うのだが。まあ人は人ですかな。


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