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2009年3月 3日 (火)

中国 ― 8%成長の成長確保は手一杯でしょう:竜河

世界的に不況の風が吹き荒れている中、中国政府が4兆元の景気刺激策を打ち出したことで、世の中の注目を集めました。株式市場においても、中国株強気論がよく聞かれています。

 

ただ、いまの中国には、世界の救世主になるほどの力はまだ備わっていないように思われます。

 

中国は景気刺激のため、あの手この手を使っていますが、その最大な目標は単純に高成長というより、失業問題がこれ以上深刻にならない8%の成長を確保するといった所でしょう。

 

事実、これまでの中国の成長パターンをみると、現在の環境下で8%以上の経済成長を目指すのは無理と思われます。今まで、中国の高成長を実現させた原動力は

 

1)輸出

2)住宅投資

3)インフラ建設

 

という3つのセクターでしたが、金融危機で欧米諸国の需要が蒸発してしまった現在、一点目の輸出では伸びが全く期待できなくなりました(211日の中国税関総署発表によると、1月の輸出は前年同月に比べ17.5%減と、1210カ月ぶりのマイナス幅でした)。

 

2点目の住宅投資はたしかに今まで頼もしかったが、価格高騰で住宅が国民にとって手の届かない高嶺の花となったうえ、景気減速で失業者が増加し、賃金カットが至る所で行われている現在、住宅投資はマイナス要因でしかならなくなりました。

 

そうなると、残されたのは3点目のインフラ建設のみです。インフラ建設では中央主権国家の特徴を発揮しやすく、雇用創出の効果も大きい。それもあって、今回の景気刺激案の中心はインフラ建設になっています。ただ、言うまでもなく、インフラ建設の一本やりで中国経済が今までの高成長を維持するのは難しい。

 

また、より長期的な観点からみると、インフラ建設はGDPの数字造りに役立つとしても、GDPの中身をよくすることはできません。今でも中国の投資効率の悪さが世界的に知られていますが、これ以上、社会固定資本投資を進むと、投資効率はさらに下がってしまいます。

 

無論、中国は欧米諸国に比べ、金融システムがほとんど打撃を受けておらず、13億民の生活向上ニーズという巨大な潜在需要があり、その上、財政出動余力も持っていますので、現実に見合う政策を強力に進めていれば、景気の落ち込みが小さく、株価のパフォーマンスが欧米諸国を勝る可能性は大きい。

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