対中輸出復調の裏側:竜河
「金属や化学、減産幅縮小 日鉱金属や三菱化学、中国向け改善」
と新聞の見出しが踊っています。
そして、
「金属・化学など素材各社が在庫調整の進展に伴い減産を緩和する。日鉱金属は工場稼働率を引き上げ、三菱化学も中国で増産に転じた。対中輸出や自動車、電機向け需要で復調の兆しが出ているため。…、減産一辺倒の流れが素材産業から変わる可能性が出てきた。」
と報道されています。
それは、嬉しいことです。
ただ、その対中輸出復調の裏には、中国の巨額な景気刺激策があり、その景気刺激策の裏には巨額な財政赤字増額があります。
事実、中国の財務省である財政部がまとめた2009年の予算案は、過去4カ月の間に4回に亘って、財政赤字額を引き上げてきました。最初の案は、赤字額が2,800億元(約3兆8千億円)だったですが、中央政府の厳しい景気認識と強い決意に後押しされ、
2,800億元 ⇒ 6,500億元
6,500億元 ⇒ 8,000億元
そして、ここにきて、
8,000億元 ⇒ 9,500億元
のように、最後は当初の3.4倍である9,500億元(約12兆91千億円)に押し上げられました。いうまでもなく、9,500億元は新中国建国以来の最大級の財政赤字額です。
いま、その予算案は、来月に開かれる全人代の審議を待っています。
その予算案が全人代の審議を通過すれば、中国の09年度歳出額は、08年に比べ、22.1%の増加となります。ちなみに、日本の09年度当初予算の歳出額(88.5兆円)は、2度の補正予算を含めた昨年度最終予算の歳出額(88.9兆円)よりも少ない。
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