豪州雇用状況(一般的論調):津田
先週発表されました12月の豪州雇用統計では失業率が前月の4.4%から4.5%と2年ぶりの悪化となり、就業者数は-1.2千人にとどまりましたが、full time jobは43.9千人減と6年ぶりの悪化を示しました。(part time jobは42.8千人増)。この結果失業者数は2年ぶりに50万人を超えました。しかし今後更なる悪化を読む向きが多いようです。
RBAは12月にキャッシュレートを4.25%に下げましたが、9月から3%下げたことになります。また2月の1%利下げの確率は現在92%まで高っており、年央までに3%への低下が予想されます。また7月1日に予定される減税前倒しなど、更なる財政刺激を求める声が高まっています。政府・RBAの金融機関支援策、景気支援策にもかかわらず、消費者心理の落ち込みが懸念され、企業は販売不振、生産削減で更にfull time jobからpart time jobへのシフトを強めそうです。
雇用大臣のJulia Gillardは「失業率は更に悪化する可能性があるが、他の主要国よりはるかに低いレベルにある。しかし失業者本人にとっては非常に厳しい時節であるとの認識は変わらない」と述べています。
今後政府見通しでは年央までに失業率は5%に達し、2010年上半期に5.5%と予想しています。しかし多くのエコノミストは年末までに6%に達するとの予想です。中にはJP MORGANのエコノミストHellen Kevanのように世界的な商品相場の下落から2010年末には失業率は9%に達するとの見方や、ABN AMROのエコノミストFelicity Emmettのように12月のANZ 求人広告が-10%となったことを重視し、「これら先行指標から判断すると、企業はまだ景気回復期待から労働力を温存しており、期待が裏切られる場合には年末までに失業率は6.75%に達する」と述べています。
またRBAのアナリストEllis Connollyは「2003年から昨年までの石炭と鉄鉱石価格などの急騰により鉱業部門の就業者数は11%増加したが、今年後半に予想される商品相場の大幅下落が現実となれば鉱業部門の支出削減、生産需要減退が大きな雇用減少につながる」と警告しています。
次に雇用形態ですが、日本のワークシェアリング、契約社員の増加は当地でも当てはまるようです。そしてその傾向は特に女性に顕著です。12月の女性のfull time jobは-36,000人に対してpart time jobは+39,000人。これに対して男性はfull time jobが-7,700人に対してpart time jobは+4000人です。つまりfull time からpart timeへのシフトで労働時間の短縮、労働コストの削減を図りたい企業側の意図と、家計の悪化から今まで家庭にいた女性のpart time労働に対するニーズが一致した結果だと言えます。
"working reduced hour is far better than no hours at all"の考え方が顕著です。
以上のように厳しい見方が一般的ですが、豪州の雇用情勢(景気情勢)は世界経済の流れに大きく影響を受け、しかも遅行性があるため、豪州から率先して明るい雇用結果が出にくいのがもどかしいところです。
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