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2009年1月12日 (月)

米国雇用統計と日本株 : かかし

 「かかし」です。

 株式市場が底堅くなってきましたね。とは言え、週末にかけて弱くなってきたようにも見えます。今日はそのことについて考えて見たいと思います。

 弱くなってきた原因として最も大きいのは米国の雇用統計に対する懸念であったようです。

 実際、金曜日に発表された内容は厳しいものでした。12月の失業率は7.2%、前月の6.7%からさらに上昇しました。また、12月に職を失った人は524千人、前月に続き2ヶ月連続の50万人越えです。これは70年前に統計を開始してから初めてのことだそうです。

 このため、米国のダウ平均株価は143ドルも下げて8599ドルになってしまいました。日米の株式市場は連動性が高いですから、月曜日の米国の動きにもよりますが、休日明けとなる日本の火曜日の株式市場は安く始まる懸念が強いと思われます。

 ただし、気をつけてください。雇用統計を投資判断の材料にすることは危険です。

 理由は雇用統計が景気の動きに遅れるという特徴があるためです。この「遅行性」については、既に指摘する人も多いので重複は避けたいと思うのですが、日本の景気動向指数で、完全失業率が「遅行系列」に含まれていることは、是非念頭に置いておいてください。

 事実、11月の雇用統計の発表時には、大幅に悪化した数字にもかかわらず、米国の株式市場は下落するどころか、上昇しました。それに日本の株式市場も追随したのです。明らかに、株式市場はこの「遅行性」を織り込んで動いているようです。失業率の急増は株式市場の底打ちのシグナルと見るわけです。

 ただ、今回の米国の株式市場は、トレンドを崩すような大きなものではありませんでしたが、下落しました。前月とは、ちょっと様子が異なります。

 なぜでしょうか? 7.2%という失業率は確かに大きいには違いないのですが、1930年代の大恐慌の時代には、33年に24.9%というとんでもない数字を記録しているのです。だから、失業率が今後さらに大きなものになるかも知れないという不安があるのだと思います。

 そこはどう考えたら良いのでしょう? 本当のところは「神のみぞ知る」ですが、私はあまり大きく心配していません。

 米国の株式市場は確かに下げてはいるのですが、その下げ幅は大恐慌の時を意識しているとすればあまりにも小さいと言わざるをえません。

 1930年代には、291024日の「暗黒の木曜日」以降の金融破たんが放置されました。FRBも無力でした。本格的な対応策は、3334日にフランクリン・ルーズベルト大統領が就任したその日に成立した「銀行救済法」以降のことなのです。

 そして、33年には失業率が24.9%に達してはいるのですが、景気のほうは第1四半期を底に急速に回復を始めました。そして年率で8%を越える景気回復は37年まで続きます。当然ですが、株式市場も空前の急騰局面に入っていきます。

 今回は30年代とは違って、かなり早手回しに金融面での対応策がとられました。議会はともかく、FRBもがんばっています。米国の株式市場はそれがわかっているのでしょう。だから、12月の雇用統計が厳しいものであったにも関わらず、トレンドを大きく崩すような下げにはなっていないのだと思います。

 30年代のキーポイントは33年のルーズベルト大統領でした。彼は民主党。そして、有名な経済政策がニューディール。今回はどうでしょうか? オバマ新大統領は民主党。そして、テーマになりそうなのが、環境関連を軸とした「グリーン・ニューディール」。なんとなく期待感が膨らみます。

 では、米国に連動する傾向が依然として強い日本株をどう見るのでしょうか? 依然として嵐のなかから完全に抜け出したわけではありませんから、過剰な楽観は慎むべきでしょう。ただし、過剰な悲観も慎むべきだということです。

 これまで3回にわたってお話してきた「不況に負けない元気な企業」を中心に着実に投資を継続していきましょう。

 米国のCNNを見ていたら、エタノールの原料であるトウモロコシの生育に不可欠な農薬の会社や、不景気の憂さ晴らしに欠かせないアルコール飲料の会社を、元気な企業として一生懸命に紹介していました。世界中どこでも考えることは同じなのですね。

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