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2009年1月 8日 (木)

通貨オプションの話を少々:津田

ちょっと通貨オプションの話を少々。通貨オプションは日本語では選択権付き為替予約と訳されますが、将来発生する債権債務に対する為替ヘッジ法として為替予約とならび一般的なヘッジ手法です。簡単な例として当地豪州の資源会社を考えてみましょう。資源会社は石炭を輸出します。そして決済が半年後であるとすると半年後に代金がUSドルで入ってきます。これを当地通貨豪ドルに転換する訳ですが、“米ドル÷為替レート=豪ドル対価”ですから豪ドルが強くなると豪ドルの手取りが減少してしまいます。これがいわゆる為替リスクですが、為替予約は“義務”と言われるように一旦6ヵ月後のレートを押さえると、たとえ当日になって豪ドルレートが予約レートより下がっていても、顧客は予約した高いレートを実行する銀行に対する義務が生じます。

一方通貨オプションは“権利”と称されるようにオプション料(いわゆる保険料にようなもの)を払うことによって、当日のレートがオプションで成約したレートより自分にとって得な場合は成約レートを破棄して、市場でより有利なレートでカバーを取ることが出来、一方オプションの成約レートが市場レートより有利な場合は成約レートを行使する権利があるという便利なものです。もちろんオプション料はそれなりにお高い場合がありますが、最近のボラティリティーの高い市場にあっては、実勢レートの値動きの方がよほど激しく保険料を十分カバーできるチャンスも多いのです。

そこでいま当地で人気の通貨オプションである“レシオ・フォワード”を簡単に説明します。

その前にオプションの基礎として通貨オプションには“通貨”を買う権利“CALL”と売る権利“PUT”があり、その権利自体を“購入する”場合と“売却する”場合の合計4つの組み合わせがあります。因みに豪ドルを買う権利を購入するとは同時に反対通貨米ドルを売る権利を購入していることになります。そして権利を購入するとオプション料を払い(保険を買ったのと同じ)権利を売却するとオプション料が逆に入ってきます。

CALLの購入(たとえば豪ドルを買う権利を購入)-結果は豪ドル買いでオプション料支払い

CALLの売り(たとえば豪ドルを買う権利を売却)-結果は豪ドル売りでオプション料受け取り

PUTの買い(たとえば豪ドルを売る権利を購入)-結果は豪ドル売りでオプション料支払い

PUTの売り(たとえば豪ドルを売る権利を売却)-結果は豪ドル買いでオプション料受け取り

複雑な通貨オプションでもすべてこの4つの組み合わせに過ぎないのです。

ごくシンプルな例を見てみましょう。いま豪ドル/米ドルのスポットが0.7100であるとします。そして6ヶ月の先物レートが100ポイントのディスカウントで0.7000です。通常の為替予約では豪ドル上昇リスクを排除するためにこの0.7000で予約を締結します。一方オプションで6ヶ月もの豪ドルCALLをストライクプライス(成約レート)0.7000で購入しますと当日豪ドルが0.6500の下がっておれば、豪ドルCALLを破棄して市場で0.6500の豪ドルを買います。一方当日0.7500に上がっていればこの0.7000の豪ドルCALLを行使する訳です。これだけみると通貨オプションが得に決まっていますが反面オプションを行使するとオプション料の支払いが生じ、市場が不安定な状況ほどこの保険料は高くなります。まあ通常値幅の数パーセント程度ですが、結構高価なものでありますので、最近の輸出の顧客は豪ドルCALLオプションを購入すると同時に豪ドルPUTオプションを売却して保険料をチャラにする戦略を取ります。上の表から豪ドルCALLの購入と豪ドルPUTの売却は両方とも豪ドル買いという結果になることがお分かりになると思います。

さて“レシオ・フォワード”ですが、簡単に言いますとオプションの売却を2倍、3倍にしますとオプション料の受け取りが増えますので、その受け取りオプション料をストライクプライス(成約レート)に反映させてより“有利な”成約レートを実現させるオプションです。下の図をご覧下さい。

つまり一般のシンプルなオプションでは上記のように6ヶ月先物ののストライクプライスが0.7000となるところを0.6800に設定できるのです。しかもオプション料はタダです。

なぜかというと顧客は銀行に対して実は0.7000で豪ドルを売る権利(豪ドルPUT)を2単位売却し、同時に0.7000で豪ドルを買う権利(豪ドルCALL)を1単位購入しますので保険料の受け取り超となり、それが0.6800という夢のレートを実現できるのです。ただし、やはり美味しい話には裏があります。というのは行使日当日に0.6800以下に市場実勢がある場合、たとえば0.6500の場合でも顧客は0.6800の豪ドル買いを2単位実行しなければなりません―① 一方当日レートが0.7500の場合には0.6800の豪ドル買いは1単位のみとなります―②昔から為替のヘッジ方法に3:3:3のヘッジというのがありますが、全体のエクスポーじゃの3割を為替予約で、3割を通貨オプションで、そして3割をuncoverにするというものですが、このレシオ・フォワードは1または2単位の為替予約が必ず発生しますので、半分為替予約、半分オプションの性格を有し、しかも通常の予約より遥かに有利なレートを実現させる経済効果があります。もちろんレシオを3倍4倍と上げればそれだけ為替予約に比べて、有利なレートになりますが、ただし逆ぶれしたときには3倍、4倍の量の不利なレートでの行使義務が生じます。ですからこのプロダクツは毎月何千万ドルという大きなエクスポージャー(為替リスク)が発生する顧客が、オプション締結時点では通常のオプションストライクより有利なレートで先のレートをある程度押さえるところが妙味です。

   

Image001_6

①2単位のUSD売り

②1単位のUSD売り

0.6800

決済

期日の相場

AUD

AUD

AUD

AUD

0.6800

ストライクプライス

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