逞しい商魂(北京紀行1):竜河
日本でのんびりお正月を過ごすつもりでしたが、急に用事ができ、中国へ一時帰国しました。
行ってきたのは、中国の北京で、12月末の北京は全ての木が裸の枝をさらし、緑1つなく、冷たい風だけが歩行者に付きまとう光景でした。
ただ、店の中に一歩入ると、たちまち、北京の人達の商売にかける熱意に圧倒されます。ある日、お昼のためにショッピング・モールの中にあるお粥の店に入ったが、注文し終わった後も、ウェイターは立ち去ろうとせず、「これだけではきっと足りないでしょう」と親切に忠告してくれました。自分が小食でこれ以上食べられないと丁寧に断ると、今度、ナプキンとお箸が入っているビニールの包みを持ってきて、“これが1人民元”と言い始めた。よく見ると、確かにテーブルの上にお箸は置いてありません。
また、泊まっている民族系のホテルでは、部屋に入ってみると、インスタントコーヒーのバッグが置いてあるし、入浴剤まで揃っていて、これが素晴らしいホテルで、今晩ゆっくり休みましょうと喜びました。そこで、早速、インスタントコーヒーの粉をバッグから出し、備え付けのコーヒーメーカーに入れて、説明書通りに水を入れました。ところが、待っているうちにテーブルの上がコーヒーだらけになり、漏斗の下に置いたコップにはコーヒー一滴も入っていませんでした。そこで、コーヒーを諦め、テーブルの上を拭き始めましたが、そうしている間にインスタントコーヒー・バッグを置いた棚の下で“1バッグ25元”と書いてある紙を発見しました。25元とは日本円約340円で決して安くはありません。その値札に触発され、浴室に入ってチェックしてみると、入浴剤の下にもきちんと“1つ25元”の紙が置いてあります。
北京の人たちの逞しい商魂には脱帽です。
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