スペインはユーロ統合の犠牲者か?:水谷
スペインの長期債の格下げをする可能性があるとS&Pが発表し、ユーロが売られました。
スペインは現在不景気風が吹き付けています。しかし、よく考えるとこれはユーロ統合の結果であったように個人的には考えます。ユーロ統合の1999年前後からスペインは好景気を迎えました。特に住宅・不動産業界では。これは、通貨統合直後の各国の経済状況が関わっています。相対的に物価が低く、労働コストが低にスペインに各国がこぞって進出しました。住宅・不動産のバブルが始まりました。特に英国、ドイツから不動産投資が活発でした。スペイン人もこの流れに乗り、片っ端から不動産を購入しました。英国人の不動産投資は、特に謙著でした。地中海沿岸のアンダルシア地方、バレンシア地方では英国人のコミュニティーが多く出来上がりました。BBC放送が見られ、英国のパブが出来、英国人は大手を振って歩いていました。私達が長期滞在したバレンシア地方のアリカンテ、ベニドームでもリゾートマンションが多く出来、その多くが英国人が買いあさりました。当時日本円で1000万円くらいのマンションが3年で3000万円くらいになりました。その後、ロシア人の投資家の登場です。私にはバブルの経験があり、ちょっと異常と思いました。スペインの不動産屋は外国語が必須です。英国人はホテル滞在もロンドンから直行便でバレンシア地方に来て、一週間ほど滞在します。通貨統合で割安感が強かったことが上げられます。当時ビールが一杯1ユーロほどでしたから、スペインは英国、そして通貨統合では一番物価の高かったドイツ人からは天国のようでした。多くの外国人が車で直接スペインに入ってきて観光・レジャーと大いに金を落として行きました。
その後ユーロ各国間の物価格差が次第になくなり、スペインも物価高に苦しむ時代となりました。人々の給料は大して上がらず、不動産は異常な上昇です。マドリッドでは、若者が結婚しても、マンションなどはとても買えないとして両親と同居する若者が多いと聞いています。バレンシア地方では、次第にスペイン人と英国人のコミュニティーが鮮明になってゆきました。お互いに干渉しない関係になりました。しかし、スペイン経済は好景気を示しました。3年ほど前には財政黒字を記録、失業率も8%台とスペインとしては最低水準でした。
そして金融危機となりました。財政赤字、失業率14%に迫る勢い、英国からに不動産投資は撤退です。不動産・建設業界が一番早く影響を受けました。多くの労働者が失業状態となり、昨年のブドウ収穫期には、季節労働者として多くが不動産・建設業界の労働者が働きました。そのあおりで外国人の労働者が失業して、犯罪に走る傾向が見られ、社会問題となりました。
このように考えると通貨統合は初期の段階では物価の低い国は恩恵を受けるのですが、各国間で裁定(アービトレッジ)が効かなくなるとたちどころに景気が悪くなるようです。物価が上がっても、所得までがついてゆかないようです。
ユーロ圏域内の先進国が結局のところ通貨統合の恩恵を受け、低い国は最初は恩恵を受けるものの、その後は犠牲者となるようです。今後も加盟国が増えそうですが、加盟のメリットとデメリットを十分に考える必要がありそうです。
水谷
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