「かかし」です。
株式市場の調整がきついですね。今年1月7日に9325円をつけてから約17%下げました。一方、ニューヨークダウ平均、ナスダックともほぼ同じ期間におよそ11%の下落でした。
米国株の下落と対ドル(対ユーロもですが)円高の相乗効果で、日本株の下げが大きくなりましたが、チャートを見ると日米の動きはウリ二つです。日本は米国の完全連結子会社といった感じです。
この日本の株価の動きをどう見るかについて考えて見たいと思います。
この動きの背景として重要なものの一つとして、2000年4月に日経平均の構成銘柄を入れ替えたことが挙げられるでしょう。30銘柄と大規模な入れ替えでした。住友石炭、富士紡績、旭電化、三井倉庫などが外され、TDK、アドバンテスト、カシオ電気、東京エレクトロンなどが新たに採用されました。
今から思えば、よりによってITバブルの絶頂期に、IT関連銘柄を中心とする「輸出型値がさ株」を大量に組み込んだのです。そのため、日経平均という指標そのものが円高に弱い指標となってしまいました。
その後のITバブル崩壊と日経平均の動きは説明するまでもないでしょう。なぜあのような大幅な銘柄入れ替えをしたのかを考えてもあまり大きな意味はありません。今とは反対に「強気のコンセンサス」が市場に充満していたので、やむをえないことなのでしょう。それにしても現在の円高はきついです。
当面は、内需型のディフェンシブ銘柄を軸に、「不況に負けない元気な銘柄」を組み入れるという、これまでの対応を継続する必要があります。
ただし、ITバブル期の「強気のコンセンサス」の裏返しのような「弱気のコンセンサス」が形成されていることには注意しなければなりません。次の一手をそろそろ頭に入れておく必要があることについては先週も申し上げました。
むずかしいのはそのタイミングです。正直なところとても難しい。
難しいならば、素直に市場に聞いてみるしかありません。こういう時に頼りになるのは商品市場です。気になるのは、株式市場が下げているのに、商品市場は底堅さが鮮明になっています。原油価格は昨年12月19日のバレル33.87ドルを底に基本は上昇基調です。
その原油価格の動向に連動するのが、鉱業、石油精製、商社といった銘柄群です。参考までに石油価格と三井物産の株価の動向を描いてみました。石油価格は日銀のデータで、日本への輸入価格を指標化したものです。
かなり両者の連動性が高いですね。業績はこれから悪くなります。しかし、株価は石油価格に連動して、すでに下げてしまいました。原油価格は底堅くなりました。つまり、これから業績は悪くなるというのに、株価は原油価格に連動して上昇を始める可能性が高まっているのです。
もちろん原油価格だけでなく、CRBなど商品の総合指標や、バルチック指数などの海運指標にいたるまで、昨年の秋以降は底堅くなっています。
次の展開を見据えた投資方針を真剣に検討する必要があります。
かかし
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