人民元の地域通貨化:竜河
新華社によると、「中国政府は24日、東南アジア諸国連合と広西チワン族自治区、雲南省の間の貿易取引について、人民元建てでの決済を試験的に認めることを決め、また、上海を含む長江デルタ地帯、広東省の 2地域と香港、マカオの間の貿易についても、同様の措置を取ると決定しました。」
中国は、今、人民元の地域通貨化を図っている可能性が大きい。ここ数年、中国と東南アジア諸国連合との貿易が急激に拡大してきましたが、決済通貨であるドルの頼りなさが貿易拡大の障害になっています。この点からみると、今回の決定は実利に基づくものです。ただ、より長期的な観点からみると、中国政府の決定は、ブレトンウッズ体制Ⅱが確立されるまでの一里塚とも言えます。
国際政治が“一極”から“一極+多極”にシフトしていると同じように、通貨の世界も“単一基軸通貨”から“基軸通貨+多種の地域通貨”へシフトしています。
無論、今のところ、中国は人民元の国際化までは望んでいないと思われます。金融システムが脆弱で、資本市場も開放していません。今のままで、人民元が国際化したら、中国がたちまち世界金融危機の大波に呑み込まれてしまうでしょう。
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