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2008年12月15日 (月)

株屋の為替談義 : かかし

「かかし」です。

 名古屋にある大学で「株式投資」の講座を担当するようになってもう8年になります。春と秋にそれぞれ独立したコースが開設されています。

 各コースで、ほぼ例外なく出てくる質問があります。「為替をどう見ますか?」。私は為替の専門家ではありません。野村さん、津田さん、水谷さんのコメントを一生懸命に、そして楽しみながら勉強しているところです。

 とはいえ、株式投資をするにあたって、為替は最も大切な指標の1つです。株屋がどのように為替の解説をしているのかをご紹介しましょう。

 引き合いに出すのは「ビッグマック」。以前は、海外の投資家に日本株の説明をするために、世界を飛び回っていました。必ず立ち寄るのがマクドナルドです。不思議なことに、日本で食べているような気分になれるのです。香港の「ビッグマック」は日本に比べて安い。ところが、ジュネーブではとても高い。

 この値段の違いを生み出すのが為替であるとするのが「購買力平価」という考え方です。今、アメリカの人たちが日本で「ビッグマック」を食べたら、びっくりするほど高いんでしょうね!

 OECDが発表している「購買力平価」では、2007年に1米ドル120円。円は毎年徐々に強くなっているので、今は110円台に入っているのでしょう。実は、この計算は基礎となる物価水準に何を使うかで数字が異なってくるようです。輸出物価を使うと80円、消費者物価を使うと160円程度になるのだそうです。

 面白いのは、世の中が平穏無事であれば1米ドル120円程度なのですが、日本経済への信頼が揺らぐような事態になると160円へ向かうことです。反対に、日本企業が世界を席捲して、貿易摩擦を引き起こすようなら80円台を目指します。

 今は? 感覚的には日本がそれほど強くなっているとは思えないのですが、自動車はどうでしょう。貿易摩擦が吹き荒れたころ、米国で日本車が壊されたり、焼かれたりしました。今は、米国を象徴してきたGMがつぶれそうです。

 貿易摩擦とGM帝国の崩壊は、表面的には全く異なっているように見えますが、底流にあるのは同じものではないでしょうか? ならば、1米ドル80円台というのはやむをえないところなのでしょうね。

 それでは、今後をどう見るのか? 2つの点に注目しています。1つ目は、自動車は日本の中で最強の産業だということ。その自動車をめぐる展開が為替に大きな影響を及ぼしているとするならば、おそらくこれ以上の円高はないかもしれないということです

 もう1つは、自動車の競争力が為替の動向に大きく影響しているならば、他の輸出産業にとっては大変な事態だということです。生き残りのための構造改革が不可欠になるでしょう。危機対応能力が厳しく問われていると見る必要があります。

 これまでもそうなのですが、日本の産業の危機対応能力は、「お尻に火がつくと」目を見張るものがあります。鉄鋼産業がそうでした。銀行業界もそうです。

 この円高を乗り切るために人員削減など合理化が避けられないとすれば、何か暗いイメージを描きがちですが、そのプロセスが日本企業の再生の重要なステップになるような気がします。この嵐を乗り切った先に見えるのは、一段と強力な競争力を備えた力強い日本企業の姿です。トンネルの先には、はっきりと出口から差し込む光が見えてきました。

 そこで株式です。今は嵐の中ですが、もう底は見えたのでは。今後、わずかでも円安に振れれば、株価は上昇しそうです

 日本国内にいると実感できなくても、ドルベースで見れば日本の国力は驚くほど高まっています。それを実感したければ、海外旅行をしてみることです。燃油サーチャージの低い航空会社を見つけて、海外旅行をしましょう。そして、マクドナルドに行って安い「ビッグマック」を堪能してください。ただし、メタボにはご用心。

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