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2008年12月 2日 (火)

シンプルに行こう:竜河

今年の株価動き、特に10月に入ってからの株価動きは去年に比べるとテンポがはるかに速くなりました。無論、その背景は、相次ぐ大手金融機関の自壊、それに伴う流動性の枯渇、実体経済への波及、及び政策当局の慌ただしい対応などが挙げられます。

このような目まぐるしく変化する状況の中、投資家が往年並みの収益を獲得するのは簡単ではありません。

しかし、投資で儲からなければ楽しさも半減します。

それでは、今のような状況で儲かるにはどうすれば良いのか、私が考えているのは、次の二つの点を留意した方が良いということです。

 

一、情報の洪水に流されないようにします

色んな媒体から時々刻々悪くなるばかりの金融・経済情勢が伝えられ、同時に政策当局の対応も次々に報道されています。このような情報の洪水に直面して、よほどの経験者で時間的な余裕を持っている(個人)投資家でない限り、すべての情報を分析し、まとめて、そこから相場への影響を正確に予想するのは難しいと思われます。

加えて、情報にたっぷり浸かっていると、いま、市場に最も影響を与えているファクターは何であるのか、本当のターニング・ポイントが来たのかどうかが見えにくくなり、明快な結論に辿りつかなくなります。

逆説的になるが、情報が多ければ多いほど、結論に辿りつくロジックをシンプルにすることは大事です。言い換えれば、できるだけ情報そのものについての分析を簡明にし、代わりにマーケットが示した情報への反応をよく観察します。こうした方は、自身が立てたシナリオ、又は今まで作ったポジションへの強い拘りがなく、そのため、瞬時に大きく変化する現在の株価動きに対応し易くなります。

 

二、投資周期をマーケットに合わせます

投資家のタイプ別、資金量の多寡、又は投資スタイルの違いにより、それぞれが得意とする投資期間(周期)が分けられています。

他方、マーケットにはマーケット自身の周期・リズムがあります。最近では周期が短くなり、テンポが速くなっています。

マーケットのこうした変化により、長期投資に慣れている個人投資家は儲かりにくくなりました。このことは、ダンスパーティで言うと、流れている音楽がテンポの速いものに変わったにも係わらず、今までのリズムで踊っていれば、他の人の足を踏んだり、ほかの人にぶつかったりしやすくなったと同じです。こういう時は、踊りを音楽のリズムに合わせるか、又は椅子でのんびり休憩するのが正解です。

無論、多くの投資家にとって、いままで慣れてきた投資スタイルを変えるのは簡単ではありません。こうした投資家にとっては、今は次の一手をじっくり考える“準備中”の時間です。

投資周期をマーケットに合わせるためには、マーケットの声に耳を傾けることは肝要です。

 下記チャートは去年10月からの日経平均週足です。明らかに今年10月中旬以降、マーケットのトレンドがはっきりしなくなり、代わりにワイド・レンジの中で上下への速い振動を繰り返しています。また、日足でみると、日経平均と最近のNYダウとも上昇周期が56日間になっています。このパターンから類似すると、今週の月曜日のNYダウ急落、今日の日経平均反落が”予定”されていた動きであると言えます。

                         Nikkeiweekly


次のチャートは最近のCitigroup(赤い線、左軸)とBank of Americaの株価動きですが、23日夜遅く米政府が発表した救済策をきっかけに、Citigroupの株価がボトムを付け、NYダウも上昇に転じました。ただ、チャートが示しているように、もう1つの大手金融機関であるBank of Americaの株価動き(青い線)がCitigroupに似ており、特に昨夜では遜色のない急落(下落率で、C:22.2%;BOA20.9%)を見せました。このことは、米国の金融システムの根が深く、クレジットコストの低下がまだまだ先であることを示しています。当面、このような認識で株式投資に臨んだ方は良いかと思われます。


Citigroup

 


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