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2008年12月28日 (日)

財務省の予想「破局のシナリオ」

「破局のシナリオ」

 冬休みなのでたまには長期的なことを。

 世界一の日本の財政赤字については1998年に大蔵省(現財務省)のリポートで先行きのシミュレーションが行われていた。題名も「破局のシナリオ」であり大蔵省がつけたとしては大胆であった。

「破局のシナリオ」

1997年の旧大蔵省発行の小冊子「財政構造改革への取り組み」の中で「破局のシナリオ」という項目がある。官僚にしては大胆な題名である。2025年度を予測したものであるが、その予測と中途であるが現状を比べてみよう。

(財政健全化目標)

       財政赤字   赤字国債発行  政府債務残高     社会保障制度
2025年度 GDP比3%    ゼロ       GDP比153%      2025年以前に底をつく
現在      6%       30兆円超     現在 160%      ??

(経常収支など)
          GDP比    国民負担率   国債及び借入金  
1994年度     2.70%      39.20%      344兆円
2025年度予想  -14.30%     70%       800兆円(現在)

内容は
社会保障制度については給付と負担の極端なアンバランスにより2025年以前に基金の底をつき社会保障制度は機能が果たせなくなる。
財政については政府債務残高が2025年にGDP比153%程度になり到底ファイナンスできない。(2025年というより既に達成しているがファイナンスは出来ている。ファイナンス出来るかどうかが為替問題に直結することになろう。)
2025年度には経常収支の対GDP比が14.3%の赤字となる。
国民負担率は94年の39.2%から2025年には70%を上回る。

ーーーーー個人的な感想ーーーーー        

 *2003年にEU並みのGDP3%財政赤字はまったく目標に到達せず倍になっている。ユーロクラブの加盟の為の会員権はおりない。マナーを守りなさいというところか。*2003年に赤字国債ゼロも達成出来ていない。
政府債務残高は2025年にGDP比153%に達する予想だがすでに160%を超えている。
2025年に社会保障制度資金は底をつくとしている。さもありなん。*経常黒字は2025年にGDP比マイナス14.3%予想となっているが、これが2007年までは予想に反し黒字が増えている。ただ今年の貿易黒字激減は大蔵省(財務省)のシナリオに近づいてきている。

国民負担率は2025年に70%と予想されている。欧米比低いとされているが日本は公共料金の高さなど統計に入らない負担が大きくこの比較はどうか。しかし70%の負担なら脱北者ならぬ脱日本者が出てこよう。日本人は団体行動主義なのでそのような現象が起きるときにはどっとくる。
国債および借入金の増加の勢いはシナリオ通りとまらない
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結論としてはさすが日本の英知の大蔵省(財務省)だけあり、経常黒字を除けば良い予想と言えよう。ただ貿易黒字は激減中。それゆえ「破局のシナリオ」と名づけられたのだが、橋本首相の増税騒ぎと小渕さんの大判振る舞いでどうしようもなくなった。さらに麻生政権での赤字国債増発。まあ日本経済の規模は大きいのですぐに破局が訪れるわけでもなく、多分ここまで読んでいただいた方が生きている間は大丈夫かもしれない。

子どもの数の減少を予想できず厚生労働省(郵政省も)は公的旅館を数多く作ってしまい資金難、整理難の年金や、車の通行量を多く見積もり道路を作りまくる道路関係者よりは財務省はすぐれた予想をした思う。ただ問題は解決しようとしていないだけだ。また国全体がどうなろうと自分がしっかりすべきかどうかだろう。
 

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