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2008年12月11日 (木)

豪ドル所感(2) :津田

豪ドル所感(その2)

私のコーナーでは豪州からの為替・金融そして一般情報などその時々の“旬”な話題をお伝えしようと思いますが、その前段階としてメインテーマの一つである豪ドル相場についての所感を何度かに分けてお話します。前回は過去13年の豪ドル相場の動きについて触れましたが、、今回は豪ドル相場の変動要因・特徴などについてお話します。(教科書的ですみません)

前回この7月からの豪ドルの動きは“投機通貨の面目躍如”と言いましたが、実は内心“豪ドルもついに完全に投機の具に化したか”と寂しい思いをしておりました。

と言いますのは、時遡って19831212日の朝、当時の労働党ボブ・ホーク政権下にあって豪ドルは先進国に遅れること10年目に変動相場制に移行しました。-0.9160近辺で-。豪ドルは一辺境通貨からスタートし経常赤字のバナナリパブリック時代を経て、世界経済の発展に寄与する資源提供国の通貨として発展し、現在では米ドル、ユーロ、円、ポンドに次ぐ第5番の取引量を誇る通貨まで地位を向上させてきました。皆さん御存知のように豪ドルにはユニークな通貨特性があります。教科書的に言えば高金利通貨、資源通貨ということでしょう。高金利通貨としては他にもNZドル、南アランド、アイスランドクローナ、英ポンド、そして最近まではユーロも含まれておりました。豪ドル金利を若干上回るのはNZドル、南アランド、アイスランドクローナと言ったところでしょうか。豪州は歴史的に製品輸入に頼り、一方生産面でのボトルネックが起こりやすく、また過去の財政赤字状態からインフレ対策プラス海外資金による赤字補填のために高金利政策を維持してきました。

事実下グラフでも分かるように豪ドル金利が米ドル金利水準(短期金利)を下回っていたのは歴史的にも1997年のアジア危機から国内景気後退期の2000年当たりが5%台で若干豪ドル金利が下回った実績があるだけです。

また資源通貨としては他にカナダドル、NZドル、南アランドなどが一般的です。豪州は輸出の6-7割が一次産品です。

下グラフから分かるように確かに豪ドルと商品相場の相関性が認められます。

したがって教科書の言うところの”高金利通貨、資源通貨”は真実です。しかし教科書が言わないもっと重要な特徴は:

高金利通貨+資源通貨=投機通貨の公式が成り立つということです。つまり投機通貨は引き出し(変動材料)が多いほど良い。胴元はつぶれては困る。また好きな時に好きなだけ取引が出来るほうが良い。⇒カントリーレーティングAAAの先進国であり、もちろん為替管理など行わない自由市場があり、通貨の流動性が高い豪ドルはまさに投機通貨の必要十分条件を兼ね備えていました。またオーストラリア人は基本的に賭け事大好き人間だということを御存知でしたか?そもそもゴールドラッシュ時に一発山を当てることを目的に多くの移民がきましたし、今でも国内いたるところにTABと呼ばれる公設レース賭け屋が存在。競馬のメルボルンカップ(毎年11月)など馬券を買っていないと逆に変な目で見られるほど。TABではあふれた人が路上に長蛇の列を作ります。更に各州には巨大な公設カジノがきらびやかに運営され州財政に大きく寄与しています。しかし華やかな見てくれとは裏腹に一家夜逃げ、破産、強盗などの悲惨な事件も多発していますが、、、、このように豪ドルを取り巻く国民性自体にも“投機大好き”気風があることを無視できません。

しかし昔が懐かしいです。朝トレードを始める前には必ずファンダメンタルズ、実需、商品相場動向、金利動向、経済指標発表予定などをチェックしてからトレードに入ったものです。然るに昨今は「ソンナノ関係ネェ!」と(すみません、もう日本では最近はやっていないんでしたっけ?)単なる“(米)株価連動式ハイレバレッジド・カジノ風ODD or EVENBLACK or RED相場”でおじさんディーラーとしては好きになれません。次回は豪ドルの実需についてお話する予定です。

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