流れが変わる兆しが出てきました:竜河
今晩、ことし最後の連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれます。
今のところ、エコノミストの間で0.5%の利下げが過半数を占めています。しかし、先物市場を見ると、多くの市場参加者が70%の確率で0.75%の利下げと見ているようです。
このパターンは、今月4日、欧州中央銀行(ECB)が、主要政策金利を0.75%引き下げ2.5%とした当時とよく似ています。当時、多くのエコノミストが0.50%の利下げを見ていましたが、蓋を開けてみると、それを超えた0.75%の利下げでした。
他方、金曜日には日銀の政策決定会合が予定されています。最近のロイター調査では日銀が今後数カ月のうちにゼロ金利に戻る可能性が40%もあるそうです。無論、目下、流動性が急速に枯渇している現実を見ると、そう遠くないうちに、日銀が「量的緩和」まで戻る可能性すらあると筆者が考えています。
ここで、面白いことで、仮に今晩のFOMCで0.75%の利下げが決定され、一方、金曜日の日銀決定会合で政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標(現行0.3%)を据え置かれるなら、長い間ご無沙汰していたドル金利<円金利の時代が再現し、円が重宝される可能性がでてきます。
ただ、今すぐさま激しい円高・ドル安が来るとは考えにくい。過去3カ月の間、円が随分高くなったほか、日銀が政策金利を据え置く可能性はほとんどありません。さらに、ここにきて、ユーロ/円は非常にしっかりしてきました。
下のチャートは、ユーロ/円(緑ライン)と日経平均(赤いライン)の動きを示したものですが、チャートから、今年8月の上旬より、ユーロ/円は日経平均に先駆けて下落していまして、そして、10月下旬以来、横ばいに転じてきました。そこで、ユーロ/円の動きが日本の株価動向に何かのヒントを与えているなら、当面、日経平均がクラッシュする可能性がそう高くないということでしょう。ユーロ/円がしっかりし、株価の下値不安が小さくなったことは、当面、急激な円高の可能性も小さいと連想が働きます。
さらに、ここにきて、もう1つ注目すべき動きは、原油価格に下げ止まりの兆しがでてきたことです。下のチャートが示しているように、原油価格は既にピークからの2段下げを完成し、いま、反発のきっかけを待っているところです。
そこで、原油価格の反発をサポートする1つの材料は、OPECが17日の総会で過去最大幅の減産決定を決定する可能性が出てきたことです。ロイターの報道によると、OPECは9月と10月の総会で合計約200万バレル(7.3%)の減産を決めたが、今回も少なくとも5%の追加減産を決定するとみられています。
ユーロ/円がしっかりし、原油価格も下げ止まりするなら、何か流れが変わり始まったようです。あと1カ月余りでオバマ新大統領が就任することを考えると、今までのパニック状態と違って、これから暫くの間、マーケットがある程度リズムを取り戻す可能性は出てきました。
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コメント
私は中国に住んでいますが、毎日、野村さんのブログを読んでいましてとても感心しました。質問があります。歴史上、日本政府が為替市場を何回も介入したことがありますが、今回はすでにドル円のレートが90円台を突破し、どうしていまだに介入の気配はないか。中国系銀行のアナリストの分析では、今回の円高は日本の民間資本が日本国内に戻ることによって、起こったことで、現在の段階の為替の介入は難しい。その理屈は正しいですか。
投稿: Shanghai | 2008年12月16日 (火) 21時52分