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2008年12月 9日 (火)

中国経済の8%成長は日本のゼロ成長:竜河

中国経済は悪化の一途を辿っているように見えます。

しかし、それは、日本人、又は私のような在日中国人のイメージで、多くの中国人、特に北京、上海に住んでいる中国人はまだそこまでの危機感を持っていないようです。

 

日曜日(7日)、北京にある大手証券会社の会長さんと電話で話したが、会長さんは、アメリカは大変ですが、中国の景気はそれほど悪くはないと自信満々の声でした。

 

また、先月、日本に出張で来られた中国の投資会社の社長さんと一緒に食事をしたが、その社長さんも本国の経済情勢に楽観的でした。社長さんによれば、97年アジア金融危機当時も、中国はあまり影響を受けなかったことを考えると、今回特に心配する必要はないとのことです。

 

事実、報道によれば、中国のお金持ちによるアメリカの値下がりした住宅を底値で買うショッピング・ツアーが組まれています。

 

しかし、97年当時とは状況が全く違うと思われます。当時、中国はまだ世界経済のアウトサイダーでしたが、今は昇格されてアメリカとは同じ船に乗っている仲間同士になりました。

 

というのは、1997年はまだ中国がWTOに加盟する前で、世界の工場とは言われなかった頃です。当時に比べ、今、経済発展は対外貿易に依存し、雇用市場も外資系企業に左右されるようになりました。

 

事実、輸出不振、外資系企業の撤退で、今年は10月初め頃からすでに、広州辺りの経済開発区で働いていた出稼ぎ者のUターンラッシュが始まりました。例えば、1011日から27日までの間、広州駅の旅客数は昨年に比べ、12万81千人も増えまして、その殆どは、四川省、重慶市、又は浙江省に帰る出稼ぎ者でした。旧正月が来年1月26日ですので、10月にも早々に田舎に帰ってしまう出稼ぎ者達の後ろ姿は、中国経済についての最も厳しい警告でありました。

 

ただ、歴史的にみれば、昔から、皇居から遠く離れた辺境での悪い出来事は報告されず、或いは高官たちに握り潰されることは日常茶飯でした。中国は大きいため、周辺から壊れていても、中央まで波及するには時間がかかります。そのため、官僚達は辺境からの報告で頭が理解できても体がついていかず、どうしても反応が遅くなりがちです。

 

中国経済が悪くなると、やはり深刻な問題が起こります。

というのは、中国では、毎年約1,000万人の新規求職者が生まれます。政府の計算によれば1,000万人の労働者を吸収するには、最低8%の経済成長を保っていかなければなりません。言い換えれば、中国にとって、8%の経済成長は日本にとってのゼロ成長と同じ意味です。私の試算では、中国の経済成長は今年何とか9%で止まるが、来年は6%前後まで落ち込む可能性が大きいです。中国にとっての6%成長は日本にとっての-2%成長ですので、そうなったときの影響の大きさは想像することすらできません。

 

景気悪化は、すでに大学卒業生の就職事情に悪影響を及ぼしています。大学を卒業したが仕事がない若者の多い地方では、政府が1人当たり千元ほど(1万5千円程度)を出して、自らベンチャーを始めるように呼びかけているところも現れました。

 

また、景気悪化がイコール治安悪化の可能性は大きい。中国の殆どの経営者は厳しい時代を経験したことなく、相互に信任する労使関係も築いてこなかったため、不況になればすぐ労働者の首切り、賃金削減で対応しようとしています。労働者達も薄給で勤めてきたため、不測時への備えは全くできていません。この状況での解雇旋風は中国の社会安定にとって一大脅威になることは目に見えています。

 

中国政府は4兆元(約57兆円)の景気刺激策を発表したが、大半のおカネはインフラ整備などの国家プロジェクトに注ぎ込まれる予定です。このことは、将来の中国にとって頭痛の種と予想されます。今でも既に中国経済は投資過剰で投資効率の低さが目立っていますが、過剰投資の体質をさらに強化していくことは、将来の中国を廃棄設備と鉄筋コンクリートの山にすることです。また、大型国家プロジェクトでは官僚の裁量権が大きいため、腐敗の温床であり、貧富の差の拡大に繋がり、社会不安の火種になりやすいことも容易に想像できます。

 

✰✰✰✰✰

 

日本株について一言:

出来高薄い中気迷い動きが続いています。レンジ圏内にとどまる可能性が大きいため、現時点では、ロングポジションの継続保有に慎重にした方は良さそうです。

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