米:ゼロ金利政策とその危険性!:水谷
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FRB(米連邦準備理事会)は政策金利(Fed Fund Rate)を今朝方のFOMC(米連邦公開市場委員会)で0.75%引き下げ、誘導目標水準として0.00~0.25%の金利水準としました。公定歩合も0.50%です。歴史的低水準です。バーナンキFRB議長は、現在取りうるあらゆる金融政策を選択肢に入れているようです。声明文を読んでみると、「向こう数四半期で住宅市場支援のために大量の政府機関債(agency debt), 住宅ローン担保証券(Mortgage-Backed Securities)の購入、状況により規模を拡大させる用意ある。」と明言しています。住宅市況悪化から発した金融危機を克服したいとの思いがにじみ出ています。詳しくは、http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20081216b.htm で確認してください。
債券市場、短期金融市場の動きを簡単に振り返ってみましょう。10年債2.26%, 2年債0.67%と歴史的に低水準になりました。イールドカーブ(利回り曲線)は、156bps(10年と2年の金利差)となっています。この水準は11月上旬の260bpsから大幅にフラットニング(flattening)[利回り曲線が平坦になる、つまり長期債の方から全ての期間で安全志向の債券買いが強まる。] が進んでいます。そしてイールドカーブだけを見ると、9月の上旬の水準にまで戻っているようです。9月2日には147bpsとなっています。リーマンショック以来債券が売られる市況環境が続いていたのですが、ここにきて、全ての投資家が安全志向、元本の目減りがない安全な資産に資金移動を進めているようです。しかし、そこにリスクを抱えているようです。私には、全てのねずみが一方方向に動き、ある時そこが崖であり、海に転落するという話を思い出します。FEBは景気回復のカンフル剤としてあらゆる対策を打ち出し、そして景気回復、とりわけ住宅市場回復を目指しています。住宅ローン金利を下げて景気を回復させるとの政策を数週間前に耳にしました。今回の声明文でも、住宅市況を強く意識した声明文と読みます。しかし、米国のバランスシートの悪化、そして米国自身の信用が悪化する危険性を想像します。要するに、住宅市況を回復させなければ、米国経済の先行きの楽観的な見方はできないと言うことではないのでしょうか。現在は安全志向で債券、短期金融市場(既に翌日物ではほとんど金利がついていません。)に資金を滞留させています。準備預金にFF Rateよりも0.35%低い金利を付けるという政策はどうなるのですか。投資家がFRBのバランスシートの悪化、オバマ次期大統領の大盤振る舞いの景気刺激策により米財政赤字急膨張となり、住宅・不動産市況が改善する見通しが立たないということに気がつき始めます。そして、債券市場では、何かのきっかけで逆回転の売りの相場になるのではと来年思っています。そうなれば本格的なドル売りとなると思います。
為替市場では、米国の金利が下がりドル売りとなっています。私が注目しているドルインデックスは現在80.20と下落基調です。11月21日高値88.25(open)から引かれるガンライン1x1(45度線 最も強い)を下回っています。そして7月16日最安値(71.73open)からの1x4ラインを破り、現在は1x8ラインを目指す動きのようです。クリスマス休暇中の薄商いで値が飛びやすい市場環境、クリスマス休暇明けの本格的な来年度明け相場までの時間経過を考慮すると77.50が1x8ラインのサポートが見えてきます。ポジション的には、ユーロ/ドル、ポンド/ドルがシカゴ筋では、それぞれユーロショート(売り持ち)、ポンドショートとなっているようで、利食いの買い戻し(ドル売り)が加速しているようです。利益の出るうちに利益(利益が目減りする恐怖)を確保しておきたいとの投資家心理が、ドル売りを加速させているようです。新たなポジション作りとは思えません。反対にドル/円は、円ロング(買い持ち)のポジションが積み上がっているために、利食いをしつつ、そして新なポジション作りにも慎重姿勢のようですので、対欧州通貨に比べて、遥かにドル売りが弱い展開となっています。本格的なドル売りが加速するのは、まだまだ後のように思います。それは年末か年初に始まるのではと思います。テーマは米財政赤字急膨張、米信用悪化、そして米住宅・不動産市況の回復の気配さえ見られないというところではないでしょうか。クロス円は、対欧州通貨と対円での、ドルの状況が上記のように状況が異なるために、緩やかな上昇に留まることになっています。
ところで、スイスでは、月末と月初での資金で、ウルティモ(Ultimo)と呼ばれるマイナス金利が昔ありました。月末越えで-10.00%~-20.00%と、そして特殊月(年末年初)では-40.00%となったことがありました。資金を借りて、金利が理論上付きます。このことが日本の金融関係者は理解できず、私も苦労したものです。そんなことを、今回のFEBのゼロ金利政策にふと思い出しました。
ところで、占いの話しで盛り上っていますね。私が一緒に仕事をしました某有名為替ディーラーは、毎朝ポーカーをして、その日の運のある数字を探すことから始めました。運のある数字によってその日の取引をします。私は参考にしませんでしたが。しかし、現在は数字にこだわっています。ガン・スクエアの数字の位置は重要に思います。その意味では、ドル/円では, 91と86が注目です。86は西の水平線に位置して非常に重要です。
それでは。
水谷
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